株式会社 東京個別指導学院(学習塾)
おもてなし規格認証2017 紺認証取得企業インタビュー
社内のホスピタリティ活動が社会に認められ
全従業員の誇りにつながる
株式会社 東京個別指導学院(学習塾)
「個別指導のパイオニア」として学習塾業界を牽引している、株式会社東京個別指導学院。同社は、「おもてなし規格認証2017」にて教育業界では初となる、現時点では最高位の「★★(紺認証)」(以下、紺認証)を取得した。認定されるまでの背景やその効果について、同社 代表取締役社長 齋藤勝己氏、人財開発部 宮坂匡則氏にお話を伺った。
- 事業所URL http://www.tkg-jp.com/
(取材:渋谷行秀)
個別指導教育のパイオニアとしてホスピタリティの向上に努める理由を教えてください。
齋藤氏:当社の掲げるホスピタリティとは、お客様との信頼関係を何よりも大切に、お客様が求めていることを超えたサービスを提供し、お客様と共に成長することで生まれる「相互満足」です。創業以来、個別指導教育を通して大切にしてきた教育理念は「やればできるという自信」「チャレンジする喜び」「夢を持つ事の大切さ」。従業員一人ひとりがホスピタリティに磨きをかけることでこの3つの教育理念を実践し、関わるすべての人の夢の実現を目指しているからです。
「おもてなし規格認証」取得の狙いを教えてください。
齋藤氏:今までもホスピタリティの大切さや、ホスピタリティで日本の教育を変える、という話を社員にしてきましたが、「おもてなし規格認証」を取得することで、その「本気さ」の度合いが社内に伝わるのではないかと考え、認証取得に取り組みました。
紺認証の取得には、人材要件として全認証施設にアソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ(以下、アソシエイト・HC)の資格取得者が必要です。御社ではどのような対応をされましたか?
齋藤氏:日本ホスピタリティ推進協会(以下、JHMA)のアソシエイト・HC資格を442名が、その上位資格であるホスピタリティ・コーディネータ(以下、HC)を16名が、それぞれ取得しました。
宮坂氏:これが実現できた一番の理由は、社長自身が本気になり、先頭に立って取り組んだからだと思います。HC資格についても、まずは社長自身が取得し、それを追う形で幹部が取得していきました。
次に、最初にHCを取得した16名で、当社におけるホスピタリティとは何かを議論し、「いつもありがとうを大切に、すべての人と喜びを分かち合う」というコンセプトを定めました。そして、そのコンセプトに沿ってJHMAの講座内容を当社用にアレンジし、当社版のアソシエイト・HC養成講座のプログラムを設計しました。養成講座の講師は全て当社のHC取得者で担い、教室社員向けに10回、本部社員向けに5回、若手社員向けに5回の計20回を実施しました。
こうした、先頭に立って動く経営陣の姿を見ることで、「本気である」ことが伝わったのだと思いますが、最終的には全社員がアソシエイト・HCの資格を取得することができました。まさに「全社一丸」という表現がふさわしい取り組みができたと感じています。
御社には9000人近くの学生アルバイトさんが在籍されていますが、特にこの学生アルバイトさんに対してホスピタリティを浸透させていくために取り組まれたことはありますか?
齋藤氏:ここ数年は、教室を一つのチームと位置づけることで、成長を促しています。生徒やその保護者様のために、チームとして大事にする視点は2つあります。1つは理念への共感と連動しますが、「自分は何のために講師をしているのか」。2つ目は、「マニュアル通りではなく、主体的になれているか」です。
またこの視点を実際の行動へと移していくためには、現場最前線へのエンパワーメントも必要です。当社では、チームメンバー同士の理解を深め、信頼関係を育み、チャレンジをしていくために、教室ごとに学生アルバイトが主体となって年度計画を作成し、年に1回、東西でその活動報告会のイベントを行っています。
こうした、理念や、現場での取り組み、そして感動を共有する場を作ることで、ホスピタリティの浸透につなげています。
審査の過程でミステリーショッピングリサーチ(覆面調査)も行われましたが、現場の反応はいかがでしたか?
宮坂氏:調査では、実際に教室の周りにお住まいの、お子さんをお持ちの保護者様が調査員として来塾し、入塾の説明を受け、その対応や教室全体の雰囲気、他の講師からの挨拶や対応など全般を見ていただきました。
調査結果は、悪い部分だけを指摘されるというものではなく、保護者様の目線で良いところも引き出してもらえたので、現場のスタッフもとても受け入れやすく、真摯に課題と向き合えたようです。当社の指導基本方針「信じる、励ます、ほめる」にも沿ったもので、フィードバックもしやすかったです。
おもてなし規格認証を取得する意義を教えてください。
宮坂氏:会社単位ではなく1施設ごとに認証をしていただけたことは、現場にとって励みになっているようです。取得した全230教室におもてなし規格認証の取得証明書を置いていますが、実際生徒に自慢げに説明をしている講師の姿をよく見かけます。外部機関からの認証ということで、現場の自信が深まり、結果として従業員満足度の向上につながったことは取得した意義としてとても大きいです。
また、しっかりと理論を学んだHC資格取得者が、自社なりの捉え方を整理し、ホスピタリティという形にしづらいものを定義することができました。今後は現場のリーダー講師にも広げていくことを計画しており、さらにアソシエイト・HCを増やしていきたいと考えています。
齋藤氏:日々教室ではそれぞれの強みを活かしてお客様と向き合っており、その「総和」で当社は成長していると考えています。
今回、おもてなし規格認証を取得したことで、自分たちが大切にしてきたことが社会から認められ、社会とのつながりを感じられたこと、また一人ひとりが自分たちが考え取り組むホスピタリティに誇りを持てたことは、非常に良かったと感じています。
業界内では人員不足が叫ばれていますが、当社では講師が増えており、定着率も向上しています。これは、ホスピタリティの浸透による成果だと捉えております。
今後も認証を取得された事業所の方のお声をご紹介していきますので、ぜひご覧ください。