第8回ホスピタリティを学ぶ会~日本航空のホスピタリティ~
会場:全共連ビル
講師:(株)日本航空文化事業センター 常務取締役 伊集院 憲弘氏
今回の「ホスピタリティの輪」をテーマとした伊集院氏のお話からは、私達のビジネスに様々なヒント、教訓が得られたものと思います。
私達の仕事の多くは分業化されています。例えば航空業界では予約⇒カウンター⇒搭乗⇒・・・。ホテルなら予約⇒フロント⇒客室⇒チェックアウト⇒・・・。という流れです。
この流れがスムーズにいき、つまり各セクションの間のコミュニケーションとチームワークが充分にとれ、それぞれの場面においてホスピタリティあふれるサービスが提供されれば、お客様は満足し、またその航空会社、ホテルを指名して利用され、リピーター、ファンになっていくという循環です。
逆にこの流れのどこかが、たとえ1つでもお客様の満足を得られなければ、輪はつながりません。そして、とたんにお客様は離れていってしまいます。
この一連の流れをCRMとも言うのですが、現在このシステムを科学的に支えているのがIT技術であり、互いに関連し合う部門間における情報の共有化のシステムです。
しかし、いくらIT技術が進歩し、またどれだけ顧客情報を共有できるシステムを作ったとしても、そのシステムを生かすのはやはり私達人間だけが持っているホスピタリティなのではないでしょうか。多くの企業がおかす過ちは、IT投資をしてシステムを構築すれば事足れリとしていることです。何よりも大切なのは、それを活用する人材教育です。またその根底にあるホスピタリティをいかに伝えるかなのです。まさに「仏作って魂入れず」の状況なのです。これが前回も書きました、「ホスピタリティにおける文化と科学の融合」なのです。
また、現在の厳しい経営環境の中で、「ホスピタリティの輪」の一部業務が関連会社に移管されたり、あるいはアウトソーシングされたりしていますが、やはりそこでも大切にしなければならないことは、各企業の経営理念をいかに共有できるかにあることは論を待ちません。たとえ所属する会社が違っても、そこに「This is not my job」という気持を持ったスタッフがいては、市場からの早晩の退出が待っているのではないでしょうか。
トーマス アンド チカライシ株式会社 代表取締役 力石寛夫氏