株式会社ワンダーテーブル

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おもてなし規格認証2017・2018 紺認証取得企業インタビュー

飲食業界を代表するホスピタリティカンパニーを目指し、全店で紺認証取得を実現

株式会社ワンダーテーブル

「市場を拓き、嬉しい時間(とき)を創る」をミッションに掲げる株式会社ワンダーテーブル。外食事業をホスピタリティビジネスと捉える同社は、マルチブランド戦略・アウトバウンド戦略・インバウンド戦略を展開し、国内外で多くの人気店を手掛けている。おもてなし規格認証の取得にもいち早く取り組み、2017年度、2018年度を通じて飲食業界初となる全店「★★(紺認証)」取得を実現した。同社取締役 小川圭介氏にお話を伺った。

(取材:角 俊英)

おもてなし規格認証に取り組まれている理由を教えてください。

取締役 小川圭介 様

弊社はもともと、フィロソフィー(企業哲学)の中でも、おもてなし、ホスピタリティの考え方を持っていましたが、社内だけではない基準、考え方で取り組むことで、更なる進化を遂げることができると考えたからです。
実際に取り組んでみて、おもてなしについての自社での視点だけではなく、多面的な判断、考え方で見直しをする機会になりました。
社内では、ホスピタリティ・コーディネータ※の資格を社内の重要なメンバーが取得しています。知識のインプットだけではなく、日頃の店舗運営や社内の活動においてアウトプットをしていく機会にもつながっていることはとても良い効果があったと考えています。

インバウンドの取り組みにも力を入れられているとお聞きしました。

モーモーパラダイス歌舞伎町本店

サービス業の採用環境が、フリーターから学生へ、学生から外国人スタッフへと移りかわっていく中で、弊社では、現在約2,500人のスタッフに対して、約500人程度の外国人スタッフが働いています。
外国人スタッフを採用していく中で、母国語でのコミュニケーションの重要性に気づきました。
外国からのお客様がいらっしゃった際に、少しの英語が話せて、片言の英語での接客が出来たとしても、各国からいらっしゃるお客様とのコミュニケーションを100%網羅できるわけではありません。寧ろ、外国人のスタッフが増え、2か国語3か国語話せるスタッフが増えてくることで対応力も上がります。

また、母国語で接客をしてくれることは観光客の方にはとても嬉しいことで、片言の英語同士の何となくの会話よりも、非常に満足度が高くなります。現状、新宿エリアでは常時4~5か国語に対応できるスタッフを揃えることが出来ています。

外国人スタッフの採用と育成のポイントは何でしょうか?

ロウリーズ・ザ・プライムリブ 赤坂店

フィロソフィーを中心とした取り組みを継続する中でも、スタッフ同士の『関係性』を重要視しています。『チームづくりをしながら店づくりを進める』というやり方で、インバウンドについても、店内の従業員スタッフの環境を先に考えてゆくことがポイントだと思います。

普通は、インバウンドの接客の対応方法や体制づくりを先に考えて動くことが多いと思うのですが、我々は働く外国人スタッフの環境づくりを先に考えて動いています。
具体的には、仕事に対する理解力の問題については、ツールを国別に作り、理解力が高まることで多少解消されると考えています。相手の立場に立って労働環境を整えることがとても重要ですので、マニュアルや面接資料、就業規則、契約書をその国の言語で準備しておくなど、外国人の方たちへの配慮がとても重要だと考えています。例えば、フィロソフィーカードも現在は4か国語を用意しています。

実際に10年前からロウリーズ・ザ・プライムリブ 赤坂店では10か国語が飛び交っている状況で、外国人のお客様を受け入れる環境が整っていますが、全社員が各国の文化をきちんと理解して、宗教上の風習などまで考慮し、また、まかないや一緒に働くメンバーを調整するなど、なるべく平等な環境づくりに配慮した営業をおこなっています。

複数の国籍の方が共に働く環境ならではの難しさがあるのですね。

1店舗に5か国6か国と異なるスタッフが増えれば増えるほどに、ESは低下する傾向にあります。ただ、長年見てゆくと「外国人だから素行が極端に悪い」というわけではなく、それは日本人でも変わらないのです。いかにリーダーが方向性を見せて価値基準を明確に伝えていくかが重要です。新宿エリアでは、現状10か国語に対応できるスタッフが勤務しています。中でも語学学校に通っているような外国人の方は3カ月程度で日本語を話せるようになります。そうした所を理解しておけば、支配人も安心して受け入れができるし、2年上の先輩スタッフも教育がしやすくなっています。

外国人スタッフのESについても、日本人スタッフと変わらないことを前提に、教育やチームワークで店づくりを行ってゆくという流れを作っています。その流れに外国人スタッフもうまく乗せていければ、対応できる国別に先輩からの紹介などで多数の新規採用が継続して行えるように環境が整ってきました。

今後のお取り組みについてお聞かせください。

2020年に向かって、日本には更に人が集まります。日本の観光のあるべき姿の一つとしても、外国からのお客様が母国語で日本のサービスを楽しんでいただけるような場を提供できるように、これからも取り組みを継続し、各店を磨き上げていきます。人材育成については、初期教育の段階から、ホスピタリティについてより高い関心を持ちながら、学べる環境づくりを目指して取り組んでまいります。


※ホスピタリティ・コーディネータとは、NPO法人日本ホスピタリティ推進協会が開講する養成講座の受講、認定により得られる資格。


今後も認証を取得された事業所の方のお声をご紹介していきますので、ぜひご覧ください。